世界遺産:夏休みの自由研究

2026年8月17日、横浜ユネスコに次の問い合わせがありました(部分引用)。
「私は川崎市の小学6年生です。
今自由研究で日本の世界遺産のことをテーマにして調べています。
もし可能であれば、世界遺産の事でお話しを聞かせていただきたいのですが、そのようなことはお願いできますでしょうか?」

かねてから交流のあるその道のプロ「エジプト文化研究会」のマリアム進士洋子さんに、ご対応をお願いしました。以下、ご報告をいただきましたので、掲載します。

小島 政行

【活動報告】

2026年8月20日

世界遺産がつなぐ日本とエジプトの絆。

夏休みの自由研究・課題で見えた、子どもたちの未来

先日、JICA横浜のフリースペースにて、夏休みの課題に取り組む小学6年生の岩渕美昊(みそら)さん(お父様、弟さんとご一緒でした)の学習をサポートする機会がありました。

美昊さんは、非常にしっかりとしたお嬢さんで、日本にある27箇所の世界遺産の特徴をすでにしっかりと調べていました。

それだけでなく、「これから私たちが認識していかなければならないことは何か?」

「世界遺産を次の世代へ語り継ぐ意義とは?」といった深いテーマについて、自分なりのまとまった意見や発表の素晴らしいアイデアを次々と教えてくれたのです。小学生ながら「SDGs」というワードもよく知っており、その意識の高さに圧倒されるほどでした。

私からは、美昊さんの探究心をさらに深めるヒントとして、知っていますか? 世界遺産の始まりと「日本の貢献」。世界遺産の歴史や現代のエジプトと日本の深い絆についてお話ししました。

  • 世界遺産の原点: 世界遺産運動のはじまりは、エジプトの「アブシンベル神殿」を水没から救う運動だったこと。フランスの女性が世界に救済を訴え、日本では当時学生だった鈴木八司(すずき はちし)さんらの尽力があったからこそ、日本も大きな貢献ができたこと。
  • 今も続く日本のサポート: 昨年11月にグランドオープンを迎えた「大エジプト博物館」の建設にも、「大エジプト博物館保存修復センター」の保存修復にも日本の援助が大きく関わっていること。東京メトロが地下鉄建設に協力しており、まもなく「大エジプト博物館駅」が完成すること。
  • 世界の宝物に刻まれた日本語: ツタンカーメンの秘宝をはじめとする貴重な展示には、日本語の説明書きが添えられていること。

アブシンベル神殿の移築や現在の様子、ピラミッド、大エジプト博物館の写真を提供しました。

最後に、美昊さんにこんな質問をしてみました。
「なぜこのテーマを選んで、みんなの前で発表しようと思ったの?」

美昊さんは、迷うことなくはっきりと答えてくれました。

「世界遺産の話をすることで、クラスの皆に興味を持ってもらうこと。それが、これからも遺産を守っていくことにつながるから」

この力強い結論に、私は深く胸を打たれました。

美昊さんの言葉は、まさにユネスコが推進する「ESD(持続可能な開発のための教育)」そのものです。ユネスコが考える教育とは、単に教科書の知識を暗記することではありません。世界の歴史や課題を「自分ごと」として捉え、「持続可能な社会をつくるために、自分には何ができるか」を考え、行動する力を育てることを目指しています。

美昊さんは、世界遺産の歴史(過去)を学び、それをクラスに広める(現在)ことで、遺産を次の世代へ守りつなぐ(未来)という、素晴らしい「心の循環」を自ら生み出していました。これこそが、これからの時代に最も必要な教育のあり方だと確信しています。

振り返れば、過去にエジプト大使館文化教育科学局で小学生向けの工芸教室を開催した時も、子どもたちの吸収力の早さと真っ直ぐな瞳に感動した記憶が蘇ります。

次世代を担う子どもたちに、歴史や世界のつながり、そして国際貢献の大切さを伝えていくこと。これこそが、私たちユネスコ活動の本質であり、最も大切な使命だと改めて強く感じた一日となりました。

美昊さん、素晴らしい発表資料を作って、新学期にクラスのみんなをあっと言わせてくださいね!応援しています!

次世代を担う子どもたちに、歴史や世界のつながり、そして国際貢献の大切さを伝えていくこと。これこそが、私たちユネスコ活動の本質であり、最も大切な使命だと改めて強く感じた一日となりました。

エジプト文化研究会 代表 マリアム進士洋子

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です